私たち人間の体は炭水化物・脂質・タンパク質・ビタミンなどで約96%を占めており、その残りの4%がミネラルです。ミネラルが人体に占める含有量は約4%とわずかですが、体内で合成できない成分であるため、日々の食事からしっかりと摂取する必要があります。
炭水化物・タンパク質・脂質を合わせて3大栄養素と言います。これは、身体をつくる原料となったり、エネルギーを生み出す燃料として、とても大切な栄養素です。しかし、3大栄養素だけを摂っていれば健康を保てるとは言えません。3大栄養素の働きを調整し、助ける役割を果たすのが、ミネラル・ビタミン・食物繊維です。この3つを合わせて「6大栄養素」と言います。これらがバランス良く揃わなければ、3大栄養素はエネルギーや身体の原料として上手に働くことができず、結果的に肥満や不調を招くことになるのです。
栄養素は互いに助け合ってその力を発揮するため、鉄分やビタミンなどの栄養素単体で摂るよりも、複数の栄養素を摂ることで相乗効果が生まれ、体の元気を作る働きをします。
鉱物性(無機)ミネラルは植物や動物など経由すること、自然のフィルターを通ることで人間の吸収しやすい形、つまり植物性(有機)ミネラルとなります。つまり、土壌や海水にある無機ミネラルは、植物や海藻が吸収することで、有機ミネラルとなります。無機ミネラルは金属で、鉄くぎを舐めても鉄分が取れないように、人間の身体の吸収効率が悪いのです。鉄分を取るためには、ほうれん草を食べることで効率的に身体が吸収できるのは、ほうれん草に含まれる鉄分が有機ミネラルだからです。
酵素は、生物の細胞の中で作られる触媒作用のあるタンパク質で、生体で起こる化学反応に対して、触媒として機能する分子です。その酵素の中には、酵素だけで働くものもあれば、酵素以外の栄養成分の助けがなければ、働けない酵素もあります。その酵素が働くために必要な栄養成分を「補酵素」と言います。
その補酵素にはミネラルやビタミンなどがあるのですが、人間の身体で合成できないミネラルがとても重要になります。何度も繰り返しになりますが、ミネラルは食事から摂取する必要があるため、効率よく摂る方法を考えましょう。
植物性(有機)ミネラル
植物は大地の無機ミネラルを善玉根粒菌や菌根菌の助けを借りて吸収して、光合成によってミネラルの状態を変えます。その植物に含まれるミネラルのことをいいます。植物が吸収したミネラルは超微粒子(ナノサイズ)で、イオン化しているため、吸収率が高く、余分に摂取しても体内に蓄積せずに排出されます。
※植物性(有機)ミネラルとはタンパク結合またはイオン化している状態のミネラルを言います。
鉱物性(無機)ミネラル
土・岩・海水・貝殻などを粉砕や溶解(希硫酸)で抽出したミネラルのことをいいます。粒子が大きく、体内の吸収率は8~12%で、大量摂取すると体内に溜まり体に悪影響を及ぼす可能性もあります。
カルシウム | 筋肉の収縮、骨・歯の強化、血液のpH調整、細胞の活性化、酵素の補助作用、代謝を助ける、神経伝達や神経細胞の働きを促進 |
リン | エネルギーの貯蓄、脳を作る、歯茎を作り歯周病を予防 |
カリウム | 神経伝達、高血圧の予防、糖尿病の予防、筋力の増強、整腸、血液のpH調整、ホルモンバランス |
硫黄 | アミノ酸の材料、軟骨・骨・腱を作る、糖・脂質の代謝、毛・皮膚・爪などをつくる、免疫力の向上、胆汁の分泌を助ける |
塩素 | 胃酸の材料、血液のpH調整、浸透圧の維持 |
ナトリウム | 神経の伝達、浸透圧の維特、水分の代謝、筋肉の収縮 |
マグネシウム | 酵素の活性化、カルシウムとマグネシウム2:1のバランスでカルシウム障害を予防、循環器の強化、酵素活性を高め肝臓病の予防、300種類の酵素反応に働く、骨の弾性、神経伝達、体液の平衡維持、筋の収縮、ホルモン分泌 |
鉄 | 赤血球の材料、貧血の予防、ホルモン作用促進、疲労回復 |
亜鉛 | 味覚を正常に保持、精子を作る、インポテンツの改善、骨・皮膚・発毛・免疫などの代謝、炎症の鎮静化、免疫細胞の強化、アンチエイジング |
銅 | 体内の化学反応を調節、ヘモグロビンの合成促進、貧血の予防、鉄の吸収、抗酸化、コラーゲンの生成、SODの構成要素、皮膚・血管の結合組織の生成、毛髪のメラニン色素を作る |
マンガン | 体内の化学反応を調節、動脈硬化予防、糖尿病改善、活性酸素を除去するSODの構成成分、リウマチ・癇癪・不妊症の改善、糖代謝、骨代謝、生殖機能 |
ヨウ素 | ホルモンの素、不足すると甲状腺障害が発生、成長期の発育促進 |
セレン | 体内の酸化作用を調節、ガン予防、有害ミネラルの解毒、一次免疫応答の促進、セレンの存在は水銀が水に溶けにくくなり、水銀毒素の発生を抑制 |
モリブデン | 体内の化学反応を調節、体内の酸化還元反応の触媒、硫黄と銅との相互作用で強く働く |
コバルト | 貧血を防止、ビタミンB12の構成、ヘモグロビンの合成、中枢神経維持 |
クロム | 糖代謝、コレステロール代謝、たんぱく質代謝(3価クロム)インスリン作用増強 |